「必須科目Ⅰ」は、“知識量”より“答案の型”で差がつく科目です。
2026年(令和8年)の技術士第二次試験・建設部門の筆記試験は、令和8年7月20日(月・祝)に実施予定(受験申込は4月1日〜4月15日)。受験者全員が必答となるのが、この必須科目Ⅰです。
この記事では、令和元年度〜令和7年度の7年分の出題を分析し、国土強靱化実施中期計画やi-Construction 2.0など最新動向を踏まえた令和8年度の予想問題4問を、答案構成のポイントつきで紹介します。
- 過去7年の出題テーマと傾向(ひと目でわかる一覧表つき)
- 令和8年度の予想問題4問+答案構成の骨子
- 合格答案に近づく書き方のコツ
本記事の予想は当ブログ独自の分析であり、的中や合格を保証するものではありません。学習の方向づけの一つとしてご活用ください。最新かつ正確な試験情報は必ず公式(日本技術士会)でご確認ください。
必須科目Ⅰの出題形式(まずここを押さえる)
2問(Ⅰ-1・Ⅰ-2)のうち1問を選択し、答案用紙3枚にまとめます。問いの構成は近年ほぼ固定されています。
- (1) 多面的な観点から3つの課題を抽出し、それぞれ観点を明記して内容を示す
- (2) 最も重要と考える課題を1つ挙げ、複数の解決策を示す
- (3) 解決策を実行して生じる波及効果と、新たに生じる懸念・リスクへの対応策を示す
- (4) 業務遂行に必要な技術者倫理・社会の持続性の観点からの要件を述べる
テーマは年度ごとに変わっても、問われ方はこの「4点セット」。だからこそ答案の型を体に入れることが合格への最短ルートです。
過去7年の出題テーマ一覧(建設部門・必須科目Ⅰ)
| 年度 | Ⅰ-1のテーマ | Ⅰ-2のテーマ |
|---|---|---|
| 令和元年度 | 建設分野の生産性向上 | 国土強靱化(自然災害対策) |
| 令和2年度 | 地域の担い手確保(中小建設業) | 社会インフラの戦略的メンテナンス |
| 令和3年度 | 循環型社会の構築(廃棄物) | 風水害対策(激甚化・頻発化) |
| 令和4年度 | インフラ分野のDX推進 | 2050カーボンニュートラル |
| 令和5年度 | 巨大地震対策(強靱な社会) | 社会資本メンテナンス「第2フェーズ」 |
| 令和6年度 | 持続可能な地域社会(第三次国土形成計画) | 大規模災害の復旧・復興へのDX活用 |
| 令和7年度 | 持続可能な建設業(担い手3法・2024年問題) | 経済成長の実現(第5次社会資本整備重点計画) |
出題傾向の分析:問われ続ける「5つの軸」
過去7年を並べると、テーマは次の5つの軸に集約されます。
- 担い手確保・働き方改革・生産性向上(令和元・2・7年度)
- 防災・減災・国土強靱化(令和元・3・5・6年度)
- インフラ老朽化・維持管理(令和2・5年度)
- カーボンニュートラル・環境(令和3・4年度)
- 建設DX・i-Construction(令和4・6年度)
- 毎年「①担い手・生産性系」か「②防災・国土強靱化系」のどちらかが必ず軸になっている
- もう一方の問題で、維持管理・環境・DXのいずれかが問われる
- つまり①②を最優先で準備し、③④⑤を組み合わせて押さえるのが効率的
令和8年度に狙われそうな「最新の政策フック」
答案の説得力は、最新の国の方針を引けるかで大きく変わります。令和8年度で特に旬なのは次の通りです。
- 第1次国土強靱化実施中期計画(2025年6月閣議決定/2026〜2030年度・事業規模おおむね20兆円強)。上下水道の戦略的維持管理や橋梁の耐震化を明記 → 防災×維持管理の“両取り”ができる最重要フック
- i-Construction 2.0(2024年4月策定)。2040年までに建設現場の省人化3割(生産性1.5倍)が目標
- 第5次社会資本整備重点計画(令和7年度の必須で既出)
- 新・担い手3法(2024年改正)と2024年問題(時間外労働の上限規制)
- 2050カーボンニュートラル/GX(建設分野のCO2削減、グリーンインフラ)
令和8年度 予想問題4選(答案構成のポイントつき)
予想問題①:インフラ老朽化と戦略的維持管理(予防保全への本格転換)
我が国の社会資本の多くは高度経済成長期以降に集中的に整備され、建設後50年以上を経過する施設の割合は今後加速度的に増加する。一方で維持管理・更新を担う人員や予算には限りがあり、近年は大規模な道路陥没事故なども発生している。社会資本を予防保全へ本格的に転換し、持続的に維持管理していくために、技術者としての立場で(1)〜(4)に答えよ。
(1)〜(4)は必須科目の標準構成(課題抽出→最重要課題の解決策→波及効果・リスク→技術者倫理)
💡 出題のねらい・背景
維持管理は令和5年度(メンテナンス第2フェーズ)以来やや間隔が空いています。国土強靱化実施中期計画でも上下水道・橋梁の戦略的維持管理が前面に出ており、令和8年度の有力テーマです。
✍️ 答案構成の骨子(例)
- 観点例:①予防保全への転換(技術)=点検・診断の高度化/②担い手・執行体制(人・制度)=技術者不足・市町村の体制/③財源の平準化(経営・制度)=更新需要の集中
- 最重要課題=予防保全への転換。解決策=AI画像診断・センサーによる点検効率化、BIM/CIMとインフラデータプラットフォーム、長寿命化工法、包括的民間委託(群マネジメント)
- 波及効果=LCC縮減・安全性向上/リスク=デジタル人材の偏在・初期投資 → 標準化・官民連携で対応
- 倫理・持続性=公衆の安全を最優先、世代間の公平
予防保全、メンテナンスサイクル、ライフサイクルコスト、BIM/CIM、インフラDX、包括的民間委託、群マネジメント、個別施設計画
予想問題②:防災・減災・国土強靱化(実施中期計画を踏まえて)
令和6年能登半島地震や激甚化する風水害など大規模災害が頻発し、2025年には2026年度からの「国土強靱化実施中期計画」が閣議決定された。気候変動の影響や巨大地震の切迫性も踏まえ、「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域社会を構築するために、技術者としての立場で(1)〜(4)に答えよ。
(1)〜(4)は必須科目の標準構成(課題抽出→最重要課題の解決策→波及効果・リスク→技術者倫理)
💡 出題のねらい・背景
防災は必須科目の“鉄板”テーマ。「国土強靱化実施中期計画」という新しい根拠が出たことで、令和8年度に問われる可能性が高いと見ています。
✍️ 答案構成の骨子(例)
- 観点例:①ハード対策(技術)=流域治水・耐震化/②ソフト対策(社会)=災害情報・避難・事前防災/③地域防災力(人・制度)=担い手・官民連携・DX
- 最重要課題=事前防災。解決策=流域治水、河川・下水道の能力強化、緊急輸送道路上の橋梁耐震化、リスク情報のデジタル化、線状降水帯予測の高度化
- 波及効果=被害の最小化・早期復旧/リスク=財源・人員の集中、地域格差 → 重点化・広域連携で対応
- 倫理・持続性=人命最優先、脆弱な地域への配慮
国土強靱化実施中期計画、流域治水、事前防災、ナショナル・レジリエンス、緊急輸送道路、TEC-FORCE、気候変動適応
予想問題③:担い手確保・働き方改革・生産性(i-Construction 2.0)
建設業では就業者の高齢化と若年層の減少が著しく、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用された。国土交通省は2040年までに建設現場の省人化3割を目指す「i-Construction 2.0」を進めている。担い手を確保しつつ生産性向上と持続可能な建設業を実現するために、技術者としての立場で(1)〜(4)に答えよ。
(1)〜(4)は必須科目の標準構成(課題抽出→最重要課題の解決策→波及効果・リスク→技術者倫理)
💡 出題のねらい・背景
最頻出の軸です。令和7年度は担い手3法が出ましたが、「省人化・オートメーション化」という切り口は令和8年度でも十分あり得ます。
✍️ 答案構成の骨子(例)
- 観点例:①生産性(技術)=自動化・遠隔化・ICT施工/②働き方(制度)=週休2日・処遇改善・適正工期/③多様な担い手(社会)=女性・外国人材・技能継承
- 最重要課題=建設現場のオートメーション化。解決策=ICT施工・自動施工、BIM/CIMによるフロントローディング、遠隔臨場、施工管理のデジタル化
- 波及効果=省人化・安全性向上/リスク=中小企業の投資負担・デジタル格差、技能継承の断絶 → 補助・標準化、教育訓練で対応
- 倫理・持続性=安全と品質の確保、下請を含むサプライチェーン全体の持続性
i-Construction 2.0、省人化、ICT施工、BIM/CIM、2024年問題、新・担い手3法、週休2日、適正工期
予想問題④:カーボンニュートラル・GX(建設分野の脱炭素)
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、建設分野でもCO2排出量の削減と吸収量の増加が求められている。GX(グリーン・トランスフォーメーション)の動きが加速する中で、建設分野の脱炭素を進めるために、技術者としての立場で(1)〜(4)に答えよ。
(1)〜(4)は必須科目の標準構成(課題抽出→最重要課題の解決策→波及効果・リスク→技術者倫理)
💡 出題のねらい・背景
令和4年度に正面から出題されたテーマです。以降は正面からの出題がなく、GXの本格化を背景に“再登板”の可能性があります。
✍️ 答案構成の骨子(例)
- 観点例:①施工・材料(技術)=低炭素材料・建設機械の電動化/②エネルギーインフラ(技術・制度)=再生可能エネルギー・系統整備/③吸収源・まちづくり(社会)=グリーンインフラ・木材利用
- 最重要課題=施工・材料の低炭素化。解決策=低炭素コンクリート、ZEB、建設機械の電動化・バイオ燃料、CO2固定材料
- 波及効果=脱炭素・新産業の創出/リスク=コスト増・技術の成熟度 → ライフサイクル評価、調達インセンティブで対応
- 倫理・持続性=地球環境への責任、将来世代への配慮
2050カーボンニュートラル、GX、低炭素コンクリート、建設機械の電動化、グリーンインフラ、ブルーカーボン、ZEB
合格答案に近づく「書き方」のコツ
(1)は「人的資源の観点から〜」のように観点を先に。3つは技術・制度・経済・環境・人材などから互いに異なる切り口で選ぶ。
施策名だけでなく効果まで書く。抽象論で終わらせないのが差をつけるコツ。
解決策を実行した結果新たに生じる波及効果・リスクを書く。年度で問われ方が変わるので設問をよく読む。
公衆の安全・健康・福利の最優先と社会の持続可能性に触れてまとめる。
まとめ
- 令和8年度・建設部門の筆記試験は7月20日(月・祝)
- 必須科目Ⅰは「①担い手・生産性」「②防災・国土強靱化」が二大軸
- 今年は国土強靱化実施中期計画とi-Construction 2.0が最大のフック
- 予想はあくまで方向づけ。過去問演習で「型」を固めるのが合格への近道
このあと、選択科目11科目(土質及び基礎/鋼構造及びコンクリート/道路/河川・砂防/施工計画・積算 ほか)の予想問題記事も順次公開予定です。
参考:試験日程・受験資格などの最新情報は、必ず公益社団法人 日本技術士会の公式サイトでご確認ください。
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