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ハサウェイ

2023年1月15日

シャアこそがハサウェイの背後霊であるべきだろう

「閃光のハサウェイ」は「映像化不可能」とも言われてきた。同作に登場するΞガンダム、ペーネロペーの形状が複雑で、モビルスーツ(MS)戦の表現が手描きでは難しいのが、理由の一つだった。小説は、森木靖泰さんがメカデザインを手がけ、約30年前のデザインではあるが、今見ても魅力的だ。ただ、アニメとして動かすのが難しい。例えば、Ξガンダム、ペーネロペーには袈裟(けさ)のようなパーツが付いており、アニメで動かそうとすると整合性がとれないこともあるという。

人気アニメ「ガンダム」シリーズの劇場作品「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」、OVA(オリジナル・ビデオ・アニメ)「機動戦士ガンダム サンダーボルト」、劇場作品「機動戦士ガンダムNT(ナラティブ)」がテレビエディションとして、1月15日からMBS・TBS系の日曜午後5時のアニメ枠“日5”で放送される。3作品はいずれも宇宙世紀を舞台としたアニメだ。2022年10月に同枠でスタートした「機動戦士ガンダム 水星の魔女」は、女性主人公、学園を舞台とするなど新機軸を打ち出し、これまでガンダムシリーズを見てこなかった新たなファンを開拓した。「機動戦士ガンダムSEED」の劇場版、「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」の第2部、ハリウッド実写映画版などの制作も発表されており、今後のシリーズの展開が注目されている。「ガンダム」シリーズを手掛けるバンダイナムコフィルムワークスの小形尚弘プロデューサーに“日5”で宇宙世紀作品を放送する狙い、今後のシリーズの展開について聞いた。

増尾:ハサウェイたちが乗ったリムジンが、ダバオの地下ハイウェイを走行するカットがありますが、あれも時間をかけて作っています。当初はカメラマップでやろうと思っていたのですが、かなり長大なカットだったので通常のマッピングベースでやっています。このカットでは光を表現しようとしていました。最初、こちらでダバオの位置と時間から計算して太陽光の入射角などを算出していたのですが、あとからその位置が間違っていたことがわかりまして。あらためて全部光を計算し直したんです。太陽の光の角度によってハイウェイに落ちる影が変化します。そのカゲはどこまで伸びているのか。どこが明るくて、どこが暗渠になるのか。そういった細かな計算も含めて、かなりこだわったカットです。

増尾:自然物という意味では、『閃光のハサウェイ』では海がたくさん出てきます。海面はもっぱら3DCGで作っています。海面の波打ちを作画で描こうとすると、かなり大変なので。昨今3DCGのプラグインを使って海面をリアルに見せるのは簡単です。でも、リアルな海面にすると、作画のルックと合わなくなってしまうので、3DCGだけど3DCGっぽさがないように、「画が動いている」くらいのさじ加減で、海面を作っています。海のカットはたくさんあったので大変でしたが、そこはこだわって作っていきました。こういう部分って、お客さんが観ているときは、自然と流しちゃうところでもあると思いますが、作り手としてはこだわっているところなんです。

『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』・『機動戦士ガンダム サンダーボルト』・『機動戦士ガンダムNT』のTVエディションを地上波で放送決定!ガンダムシリーズの原点、“宇宙世紀”の魅力を体験しよう!

「閃光のハサウェイ」は、アニメで常識とされていることに捕らわれず、大胆な手法で作られた。“壊す”ことは勇気が必要だが、その決断をしたからこそ、映像美を実現したのだろう。

――3DCGというと、ロボットや乗り物、人工物によく使われる印象がありますが、『閃光のハサウェイ』では美術を立体的に見せるために使ったり、自然物を表現したりするのに3DCGが使われているんですね。

手描きを中心としたMS戦の最高峰とも呼ばれる「機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)」など、これまでも最高を更新してきたが、「閃光のハサウェイ」は、手描きと3DCGを融合させることによって“さらにその先”を表現したようにも見える。

前作でハサウェイは会って数日の自分の好きな人(敵)を撃たれたという理由でアムロの恋人である味方のチェーンを撃った。しかもチェーンはハサウェイを心配して助けに来たのにも関わらず。そしてアムロはシャアの地球に対するテロ行為を止めようとしていた。 そして今作、ハサウェイはテロリストとなり、罪もない民間人を戦闘の犠牲にすることになんの躊躇もない。そんなハサウェイにアムロが優しい言葉を投げかけるなんてご都合主義もいいところだ。シャアこそがハサウェイの背後霊であるべきだろう。

市街戦も印象的だ。巨大なMSが街に現れ、戦いを繰り広げる。戦いに巻き込まれた人間の視点でもMS戦が描かれ、没入感があり、戦争の恐ろしさを感じる。「ガンダム」シリーズではこれまでも戦争に巻き込まれる人々を描いてきたが、「閃光のハサウェイ」は圧倒的な映像美、リアリティーによって表現をアップデートしたようにも見える。リアリティーも「閃光のハサウェイ」の映像の魅力の一つになっている。

他にモブカー(市街地を行き来するクルマ)も私が担当しました。そこで藤江さんたちがお作りになっているメカの3DCGのこだわりを学びながら、3DCGのセルシェーダーでルックを作っています。藤江さんは、とくに線(輪郭線)の表現を大事にされていると感じました。ラインを外して塗り分けだけで見せた方が良い場所、ラインをしっかり入れる場所などをひとつひとつ確認しながら、藤江さんといっしょに作っています。あと、ハサウェイとギギが乗るリムジンの車内も、キャラクターのサイズ感をしっかりと調整しながら作りました。普通の作品なら背景画一枚で見せるだろうところも、しっかりと作り込んでいるのは、さすが村瀬さんだなと思いますね。

宇宙世紀105年、秘密結社マフティーは腐敗した地球連邦政府に対して、粛清を宣言する。 次々と政府高官を粛清していくマフティー、そのリーダーであるマフティー・ナビーユ・エリンはかつてシャアの反乱で想い人クェスをその手に掛けた、ブライト・ノアの息子、ハサウェイ・ノアなのであった――。

人気アニメ「ガンダム」シリーズの劇場版「機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ」(村瀬修功監督)のテレビエディションの第1話にあたる「1/4『ランディング・グラウンド』」が、MBS・TBS系の日曜午後5時のアニメ枠“日5”で1月15日に放送される。「閃光のハサウェイ」は、1989~90年に富野由悠季監督が発表した小説が原作。「映像化不可能」とも言われていたが、小説の発表から約30年たち、2021年に劇場版が公開されると、映像美が話題になった。公開当時、スタッフを取材する中で「映像的なチャレンジだった」「『ガンダム』にとって一つのターニングポイントになった」という声を聞いた。スタッフの証言を基に「閃光のハサウェイ」の映像美を解説する。

増尾:ハサウェイがクルーザーに乗って飛行艇に向かい、飛行艇が半島の周りをぐるっと旋回するシーンもカメラマップを使っています。ここでは美術さんの負担を減らして、いかに半島を立体的に見せるか、という点を追求しています。あのカットはけっこう大変だったんですよ(笑)。ベースになるものを一度3DCGで作り、どれくらいの解像度で、どれくらいの分割をして、美術さんに背景を描いてもらえれば良いのかシミュレーションしました。また、マップを貼る方向によって木々が立体っぽく見えるので、そのあたりも踏まえて、美術さんに背景を複数枚描いていただき、それを組み合わせています。

「ガンダム」シリーズは、手描きのMS戦が魅力の一つではあるが、「閃光のハサウェイ」では、3DCGと手描きを融合して、「映像化不可能」とも言われた複雑な形状のΞガンダム、ペーネロペーを表現した。Ξガンダム、ペーネロペーはミノフスキー・フライトと呼ばれる飛行技術によって重力下で動き回る。3DCGによって手描きでは難しい微妙な動き、パースの変化を表現したのに加え、光源による影の変化にもこだわった。

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